← 英仏海峡トンネルのメニューへ ●日韓トンネル研究会のTOPページに行く●
カンタベリー条約(日本語訳)

カンタベリー条約は英仏海峡トンネルを事業認可するため、1986年2月12日に英仏間で調印し、1987年7月24日に発効した条約です。


 No.25792

フランス共和国と
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国

英仏海峡トンネルの民間特許権所有者による建設と運用に関する条約
1986. 2. 12 カンタベリーにて署名


 公式文書:フランス語、英語
1988. 3. 16 フランスによって記録された。

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)とフランス共和国(フランス)の間で結ばれた英仏海峡トンネルの特許権所有者による建設と運用に関する条約。

  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国並びに他の諸領土の女王陛下、コモンウェルスの首長、並びにフランス共和国の大統領は、英仏海峡トンネルは、英仏間の通信を大幅に改善し、両国関係に新たな弾みを与えると確信している。
 ヨーロッパ共同体加盟国間及びより一般的にはヨーロッパ諸国間の、関係及び交流の発展に寄与することを望む。
 また、イギリス政府及びフランス政府が定めた基準に従って、民間企業による英仏海峡トンネルの建設及び運用を許可することを望む。

条約を締結することを決定し、ここに彼らの全権大使を任命する。グレートブリテン及び北アイルランド連合王国並びに他の諸領土の女王陛下、コモンウェルスの首長:ジェフリー・ハウ閣下、女王弁護人及びグレートブリテン及び北アイルランド連合王国外務担当大臣;フランス共和国大統領:ローラン・デュマ閣下、フランス共和国外務大臣;両者は全権をもって正式に、次の通り合意した。

 第1条 目的と定義

(1)両締約国は、本条約、その附属議定書及び取決め、並びに両政府と民間特許権所有者(以下「特許権所有者」という。)間の契約の規定に従って、特許権所有者(以下「特許権」という。)による英仏海峡トンネルの建設と運用許可することを保証する。英仏海峡トンネルは、政府資金に頼ることなく、また金融的あるいは商業的政府保証に頼ることなく、資金を調達するものとする。

(2)英仏海峡トンネル(以下「海峡トンネル」という。)は、特許権のもとにより詳細に記述されるものだが、ケントのシェリトンとパ=ド=カレーのフレタンとの間の英仏海峡下のツインボアトンネル鉄道線と関連サービスのトンネル、及びトンネルへの出入りを制御するためのターミナル区域を指し、また、その海峡トンネルには、貨物やその他の施設および英国とフランス間の道路線、今後海峡トンネルの一部を形成すると締約国間で合意するものが含まれる。 


第2条 国際的、立法的、規制的措置 

(1)締約国は、英仏海峡トンネルの建設及び運用がその国際的義務に合致することを確かにするために、策を施す。両者は、関連する国際機関に必要な働きかけを行うことに協力する。

(2)締約国は、特許権に基づき、特許権取得者による海峡トンネルの建設及び運営に必要な立法上及び規制上の措置を採用し、また、そのような措置を講じる。 


第3条 国境および管轄区域 

(1)海峡トンネルに関するいかなる事項に関しても、イギリスとフランスとの間の国境は、西経0.5度以東の領域における大陸棚の分界に関する1982年6月24日にロンドンで署名された協定で定義された線の垂直投影とし、両国は、本条第3項の規定並びに続く第4条、第5条、第7条及び第8条の規定により定められた議定書又は特定の取り決めに従って、適宜管轄権を行使する。

(2)海峡トンネルにおける国境は、海峡トンネルの該当区間の完成後、いかなる場合にも海峡トンネルの運用開始前に、両国の代表者からなる合同委員会により記される。

(3) 海峡トンネルの建設において、両国のうちの一方から実施される工事が国境線を超える場合、その部分において適用される法律は、その部分が他方の国から進行する工事と有効に接続する前に生じる事項に関して、最初に述べた国の法律でなければならない。

(4)海峡トンネルの建設中に発見された天然資源に対する権利は、当該資源が存在する領域又は大陸棚の国の法律に準拠する。 


第4条 警察および国境管理 

(1) 国境管理は、可能な限り、迅速な交通の流れと管理の効率の良さの調和が取れる方法で組織されなければならない。

(2)警察、出入国管理、税関、動植物衛生管理を含む衛生管理、及びその他必要と思われる管理の実施に関する規定は、補足議定書又はその他の取決めの対象となる。

(3)このような議定書または取決めは、管理が並存する相手国の領域において、公的機関がその機能を行使できるようにするために規定を設ける。また、海峡トンネルの建設および運営に関する職務の遂行に必要な限りにおいて、公務員およびその他の者が海峡トンネル内を自由に往来するための規定、ならびに彼らに与えられるべき保護および援助に関する規定を含む。

(4)国境管理に必要な建物や設備の建設と維持管理は、特許権について定められた条件に従って、特許権所有者の責任で行われる。

(5)各政府は、自国の管理域内における費用の支払いまたは回収に責任を負う。 


第5条 防衛と安全保障 

(1)海峡トンネル及びこの条約の履行に関する防衛及び安全保障の問題は、両政府間の特別な取り決めの対象とならなければならない。この取り決めは、海峡トンネルの防衛及び安全保障に関する職務の遂行に必要な限りにおいて、公務員及びその他の者が海峡トンネル内を自由に往来すること並びにこれらの者に対して与えるべき保護および援助に関する規定を含まなければならない。

(2)このような取決めは、海峡トンネルの防衛及び安全保障に必要な決定を行う権限を有する当局を各政府が任命することを規定する。両政府によって任命された当局又はその代理人は、可能な限り、当該取決めの枠組み内でその活動を調整する。

(3)特許権所有者は、海峡トンネルの防衛及び安全保障に影響を与える設計、計画又は取決めの提案を両政府に提出し、その承認を得るものとし、両政府は、かかる提案に対する共同の対応に合意する。

(4)特許権所有者は、両政府から要求された場合、海峡トンネルの防衛及び安全保証のために必要な措置を講じる。第6条で想定されるような例外的な状況を除き、両政府は特許権所有者に当該措置をとるよう要求する前に互いに協議し、共同で行動しなければならない。 


第6条 例外的状況 

(1)自然災害、テロ行為若しくは武力衝突又はこれらのおそれ等の例外的状況が生じた場合、各政府は、状況が許す限り、他方の政府と協議の上、この条約、その補足議定書及び取決め又は特許権に基づく義務を損じる措置をとることができる。

(2)このような措置は、海峡トンネルの閉鎖を含み得るが、状況の緊急性に応じて必要な範囲に限定されるものとし、相手国政府及び必要に応じて特許権所有者に直ちに通知されるものとする。 


第7条 社会保障、安全及び労働法

両政府は、補足議定書又はその他の取決めにより、社会保障、雇用及び労働における健康と安全に関する法律の海峡トンネルの建設又は運用への適用に関する規定を設けることができる。


第8条 法的事項における相互援助

両政府は、補足議定書又はその他の取決めにより、民法、商法、刑法及び行政法の執行並びに海峡トンネルの建設及び運用に適用される法律に関する相互援助について規定することができる。


第9条 財政・関税・金融制度 

(1)海峡トンネルの建設又は運用から生ずる利益及び利得に対する両国による課税は、当分の間有効な「所得に対する課税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための条約」及びその議定書を含む両国の法令に従う。

(2)両国は、海峡トンネル横断のために直接競合する輸送の利用者に課される税金に関して、公正原則を遵守する。

(3)海峡トンネルの建設または運用によって必要となる資金移動および金融決済は、両国の間であれ、第三国との間であれ、共同体法に整合する国内法が定める手続きがある場合には、その手続きに従って許可される。換算は、類似の取引に適用される市場レートで行われるものとする。両国は、当該資金移動または金融決済について、一般に適用されるそれらが表す支払いの税金以外には、いかなる税金も徴収しない。

(4)両政府は、国際的義務に合致する限りにおいて、ある国から他の国へ海路又は空路で旅行する者が利用するのと同等の免税施設へ、海峡トンネルを通じてある国の本土からアクセスすることを旅行者に認めることを意図する。


第10条 政府間委員会

(1) 海峡トンネルの建設及び運用に関するすべての事項について、両政府の名において、また両政府に代わって、監督するために政府間委員会を設立する。

(2)特許権所有者に関しては、両政府は、改正や延長、停止、終了又は後者の割り当てに関するものを除き、政府間委員会を通じて、特許権に基づく権利及び義務を行使する。

(3)政府間委員会の役割には、以下のものが含まれるものとする。

 (a) 海峡トンネルの建設と運用の監視
 (b) 特許権所有者との必要な協議を請け負う
 (c) 特許権の実施にあたり、両政府の名において決定を下す
 (d) 第11条にて規定されるように、安全機関が行う提案を承認する
 (e) 海事及び環境に関する規制を含む海峡トンネルに適用される規制を作成し、又はその作成に参画し、その後の実施を監視する
 (f) 政府又は安全機関から付託された事項またはその他検討する必要があると思われる事項について検討する
 (g) 両政府又は特許権所有者に助言及び提案を行う

(4)各政府は、安全機関の代表者2名以上を含む最大16名の委員からなる政府間委員会の委員の半数を任命する。委員会の議長は、各代表団代表が交互に1年の任期で務める。

(5)政府間委員会の決定は、英国及びフランスの代表団代表の合意によって行われる。両者の間に意見の相違がある場合は、第18条にて規定される政府間協議の手続きが適用される。

(6) 政府間委員会は、その手続きの規則を作成し、両政府に提出し承認を得る。

(7)政府間委員会は、その職務を遂行するため、委員会の選択に従って各政府当局や、その他の者、専門家などの援助を求めることができる。

(8)両政府は、海峡トンネルに適用される規則が自国の国内法において必要な効力を確実に有するために必要なすべての措置をとり、政府間委員会に対し、その任務の遂行に必要な調査、検査及び指示の権限を付与する。

(9) 政府間委員会の経費は、特許権の定めるところにより、特許権所有者が負担する。 


第11条安全機関

(1) 安全機関は、以下を目的として設立される。

 (a) 海峡トンネルの建設と運営における安全に関するあらゆる事柄について、政府間委員会に助言し、支援する。この目的のために、安全機関は以下のことを行う。

  (i) 政府間委員会の要請又は自らの発意により、政府間委員会に助言及び提案をする

  (ii) 海峡トンネルの安全性に適用されるあらゆる規則の作成に参加し、政府間委員会にそれを提示する

  (iii) 自らの権限の範囲内で、政府間委員会から委任された機能を遂行する


 (b) 海峡トンネルに適用される安全措置及び実行が有効な国内法又は国際法に従うことを確認し、当該法を執行し、その実施を監視し、政府間委員会に報告する

 (c)海峡トンネル内の安全に影響を及ぼすあらゆる出来事に関する報告を調べ、必要な調査を行い、政府間委員会に報告する

(2)安全機関は、特許権所有者と必要な協議を行う。

(3) 緊急の場合、安全機関委員長又はその代理人は、海峡トンネル内の人及び財産の安全のために必要な措置を講ずる。彼は、講じた措置を両政府及び政府間委員会に報告する。

(4) 安全機関の構成は、両政府の合意により決定される。各政府は、委員の半数を任命する。安全機関の議長は、各代表団長が交互に1年の任期で務めるものとする。

(5) 安全機関は、その手続きの規則を作成し、政府間委員会を通じて両政府に提出し、承認を受けなければならない。

(6) 安全機関は、その職務を遂行するために、その選択に応じて各政府当局又は機関若しくは専門家の援助を求めることができる。

(7) 安全機関は、必要とされる場合は、政府間委員会に報告すると同時に、両政府に報告することができる。

(8) 両政府は、安全機関並びにその構成員及び代理人に対し、その職務の遂行に必要な調査、検査及び指示の権限を与える。

(9) 安全機関の経費は、特許権の定めるところにより、特許権所有者が負担する。安全機関の予算は、当局と協議の上、政府間委員会が決定する。


第12条 特許権所有者に付与される経営の自由

(1) 両政府は、特許権の期間中、特許権所有者が国内法及び共同体法の枠内で、その商業政策、税率及び提供されるサービスの種類を自由に決定できることを保証する。

(2) 特定の価格および税率の統制に関する法律は、本特許権の期間中、海峡トンネルには適用されない。

(3) ただし、これらの規定は、競争又は支配的地位の濫用に関する国内規則又は共同体規則の適用を排除するものではない。 


第13条 特許権所有者の義務

本特許権は、以下の原則を実現するための規定を含むものとする。

(1) 特許権所有者は、政府との取引において、共同で行動し、1人の役員によって代表される。彼らは、特許権の全期間中、連帯して責任を負う。特許権所有者は、海峡トンネルの建設について、1人または複数の独立したプロジェクトマネージャーを任命する。


(2)特許権所有者は、特許権の規定、両国において有効な法令及び規則並びに海峡トンネルの建設及び運用に適用される共同体規則を遵守すること。本条約並びに補完議定書及び協定のうち自らに適用される規定を遵守すること。特許権所有者は、いずれかの国がその国際的義務に違反することとなるような行為を行ってはならない。

(3))特許権所有者は、十分な安全条件の下で、かつ、この条約の第4条、第5条、第6条、第10条及び本条約IIに基づき行われる決定に従って、海峡トンネルにおける交通の継続的な流動を確保しなければならない。 

(4)海峡トンネルの建設及び運用に係る取引においては、英国特許権所有者及びフランス特許権所有者は、必要な範囲において間接税を考慮し、費用及び収益の均等分割の原則を適用する。

(5) 特許権所有者は、事故防止のために必要な措置を講じなければならない。特許権所有者は、海峡トンネルの建設、存続又は運用に起因して利用者又は第三者に生じた損害について、損害の原因となった事象の発生した海峡トンネルの部分に適用される法令に従って責任を負う。特許権所有者は、関連するリスクに対して適切かつ合理的に適切な保険、またはその他の財政的担保を講じ、維持する。

(6)海峡トンネルの建設が十分に完了しない場合又はその運用が何らかの理由により停止した場合において、特許権所有者は、特許権の定めるところにより政府から要求されたときは、自己の費用で、放棄され又は使用不可能な海峡トンネルの部分を除去し又は安全を確保する。本規定は、国防上の理由、特許権の条件を充足または遵守しなかった場合、または第6条により付与された権限に基づく場合を除き、政府が特許権を停止する措置をとった場合には適用されない。両政府は、海峡トンネルの建設または運用を完了させる義務を負わない。

(7) 特許権所有者は、英国及びフランスの電気通信事業者との間で、海峡トンネルの利用に関する協定を取り交わす。


第14条 特許権に関する変更 

両政府の事前承認がない限り、特許権の条件を変更することはできない。 


第15条 特許権所有者への補償

(1) 特許権の期間が終了したときは、特許権に明示的に規定されている場合を除き、いかなる種類の補償も特許権所有者に対して行われない。

(2)両国は、特許権の期間を通じて、国防上の理由、又は特許権の条件及び規定、若しくは第6条に規定される権限に基づき特許権所有者が満足又は遵守しなかった場合を除き、特許権所有者による海峡トンネルの建設又は運用を中断又は終了させないことを約束する。国がこの義務に違反した場合、特許権の規定に基づき、国際法に合致した補償を受ける権利が特許権所有者に付与される。

(3)国が国防を理由として特許権所有者による海峡トンネルの建設又は運用を中断又は終了させた場合、特許権所有者は、当該国の法令に定めるところにより補償を受けることができるものとする。本規定に基づき両国に責任がある場合において、特許権所有者が両国に対して補償を請求するときは、特許権所有者は、それぞれの国の法律に従って支払われるべき補償額の半分を超えて、それぞれの国から補償を受けることができない。

(4)各国は、国際法の定めるところにより、特許権所有者に対する補償金の支払について、その責任があるときは、その責任に応じて費用を負担しなければならない。


第16条 国家間での補償

特許権の期間中、いずれかの国が特許権所有者による海峡トンネルの建設又は運用を一方的に中断又は終了させた場合、他方の国は補償を受ける権利を有するものとする。当該補償は、相手国が被った実際かつ直接的な損失に限定され、間接的な損失または損害は除外されるものとし、特に、海峡トンネルの設置または運用から得られる税収またはその他の利益の損失は除外されるものとする。海峡トンネルの建設又は運用が両国の防衛上の利益に資する場合には、国防を理由とする中断又は終了については、補償を行わないものとする。


第17条 特許権の終了に伴う政府の権利

特許権が、時間の経過または理由の如何を問わず早期に終了した場合、特許権取得者が各国の管轄内にある海峡トンネルの構造、土地、トンネル設備の一部に関して享受していた権利は、当該国に返還される。海峡トンネルに関連するその他の財産は、特許権に規定された条件の下で、両国の共同財産となるはずである。両政府が特許権の運営を共に継続することを決定した場合、海峡トンネルの構造および設備の維持管理を含め、権利および義務の平等に基づいてこれを取り行う。 


第18条 政府間協議 

両政府は、以下いずれかの要請があれば、協議する。

 (a) 本条約又は特許権の解釈又は実施に関する事項

 (b) 海峡トンネルの建設又は運用に実質的な影響を与える可能性のある措置の通知又は実施の結果

 (c) 条約又は特許権に基づく国家の権利又は義務に関連して提案された措置について

 (d) いかなる理由であれ、特許権が終了した場合、海峡トンネルの将来の利用、その継続的開発及びその継続的運用に関して


第19条 仲裁

(1) 仲裁は、和解のために設置される。

 (a) 本条約の解釈又は適用に関する両国間の論争で、3ヶ月以内に第18条に基づく協議によって解決されないもの
 
 (b) 特許権に関連する政府と特許権所有者との間の論争

 (c) 本条約の解釈又は適用に関する特許権所有者間の論争

(2) 仲裁廷は、各案件について、以下の方法により行われる。

 (a) 各政府は、仲裁の要請を受領してから 2 ヶ月以内に、1 名の仲裁人を任命する

 (b) 2人の仲裁人は、第2仲裁人の指名後2ヶ月の内に、相互の合意により、第3国を第3仲裁人として指名し、この第3仲裁人が議長を務める。

 (c) 期間内に任命が行われなかった場合には、当事者は、その他の合意がない限り、欧州共同体司法裁判所長官に対し、必要な任命を行うよう請求することができる。

 (d) その裁判所の長がいずれかの国の国民であるとき、又はその者が実行できない場合は、年功序列の裁判所の会議所の長が任命するよう要請される。

 (e) 後者が一方の国の国民であるか又は同様に実行することができない場合には、いずれの国の国民でもなく又は行動することができない次順位の裁判所の構成員に任命を要請するものとする。

 (f) 特許権所有者が当事者となるいかなる事件においても、特許権所有者は2名の追加仲裁人を任命する権利を有する。政府によって任命された2名の仲裁人は、特許権所有者によって任命された2名の仲裁人との合意により、法廷の議長を任命するものとする。(b)項に定める期間内に合意が得られない場合、本項(c)、(d)、(e)項に定める手続きに従って議長を任命するものとする。特許権所有者が指名する仲裁人は、本条約の解釈または適用に関する決定部分には参加しない。

(3) 仲裁廷は、多数決により決定を行うものとする。仲裁人は、棄権することができない。賛否が分かれた場合、議長は決定票を有する。仲裁廷は、当事者の一方の要請により、自己の決定を解釈することができる。仲裁廷の決定は、最終的なものであり、当事者に対して拘束力を有する。

(4) 各当事者は、自己が指名し又は自己のために指名した仲裁人の費用及び議長の費用を均等に負担し、仲裁手続に要するその他の費用は、審判所の定めるところにより負担する。

(5) 条約に関する論争を解決するため、審判所は、条約及び関連する国際法の原則を考慮するものとする。

(6)特許権に関する紛争を解決するため、条約及び特許権の関連規定を適用する。英国法またはフランス法に基づく特定の義務を履行するためにこれらの規定に依拠することが必要な場合には、適宜、英国法の規定またはフランス法の規定を適用することができる。一般に、関連する国際法の原則に依拠することができ、また論争当事者が同意した場合には、衡平法の原則に依拠することができる。


第20条 批准と効力の発生

本条約は、批准を対象とする。なお、パリで行われる批准書の交換の日に、効力を生ずるものとする。

その証として、それぞれの全権代表者は、この条約に署名し、印を押した。1986年2月12日、カンタベリーにおいて、仏語及び英語による文書で締結され、両文書は、等しく権威あるものである。


大統領のために フランス共和国の [サイン]

英国女王陛下のために [サイン]



 訳責:特定非営利活動法人日韓トンネル研究会


原文(フランス語&英語)はこちら 黄色い字が英文

ページのTOPに戻る